螺旋階段は永遠に続く・・・ Aix-en-Provence

mercredi.11.08.2004

暑いのでやはり眠れなかったが、今日も布団の上でがんばった。
くだらない思考の渦に入り込むのはやめてアファメーションに集中。
「明日はam7:00に起きた!」
寝返りを何度もうちながらも、am3:00頃には眠ったのではないだろうか。

アファメーションの成果か、am6:00に暑苦しくて目が覚める。
窓を開けると涼しい風が入ってきた。
am7:00の目覚ましまでしばらく横になり、ゆっくり準備をして家を出た。
とにかくam9:00発、Nice 行きのバスに乗りさえすればどこかには行ける。
漠然と、まずは近いところ、
ピカソ美術館のある Antibes [アンティーブ] に行こうと思っていた。
今日も途中のATMでお金をおろして行ったが、なんだろうこの余裕は。
以外にも早くバス乗り場に着いた。

Antibes に行くには Cannes [カンヌ] で国鉄に乗り換えなければならない。
Nice 行きの高速バスは、確か Cannnes を通ったはず。
チケット売り場で「Aix−Cannes, One day. Return today.」と言うが、
いろいろ聞き返された。
時間もないし、とにかく“カンヌ”とか何とか聞こえたようなので、
よくわからないまま「OK」と言ってチケットを買い、
急いでバスに乗り込んだ。バスはam9:00ちょっきりに出発した。
そうか、だからこの前は乗れなかったのだ。
★今日の日程★
★今日の日程★
AixーLe CannetーCannesーAntibes
今日は雲が多い。後ろの席のおばさん達がずっと笑っていて、うるさくてイライラした。
バスはこの前と同じように高速を走り、どこかの料金所のような所を通ると町中に入っていった。
1時間半が過ぎ、そろそろだと看板を気にしていると、アナウンスが入った。
「キャネ」と聞こえたので、次に止まったところでさっさと降りた。
後ろのおばさんのうるささに我慢できなくなっていたというのもあるかもしれない。
しかし、すぐ間違ったことに気づいた。
目印になる物を探してきょろきょろしていると、女性の絵の展覧会の広告板に [Le Cannet] の文字が。
ここは、もしかして、ガイドブックでチェックしていたカンヌ近郊の街、[ル・カネ] じゃないか?
そういえば切符売り場の人も「ル・キャネ」と言っていたような気がする。
バスのアナウンスも「ル・キャネ」・・・。なんだよ〜「ル・カネ」じゃなくて「ル・キャネ」じゃないか!
ああ! 今日は Antibes に行くつもりだったのに!


★展覧会の広告★
★展覧会の広告★
「女性」〜ヴァン・ドンゲンとその時代の画家展
仕方ない。今日はもう Le Cannet でも観ようか・・・とあきらめの気持ちで、
とにかく日の当たらないところを探した。
そこは大きな道路が交差しかなり渋滞するところで暑苦しすぎたのだ。
Le Cannet もレイモン・ペイネの壁画、トビアスの壁画の礼拝堂、
ボナールの住んでいたところなどがあり、チェックはしていた。

広告板と同じ展覧会のポスターが貼ってある建物が目の前にある。
Maison du Tourisme・・・観光案内所だ!
中に入るとクーラーが入っていて気持ちよかった。
感じのいいムッシューがいて、ポスターの展覧会のある場所を聞くと、
すぐに伝わったが英語が話せないらしく、
もうひとりの女性がかわりに地図にメモをしてくれた。
他にも現代アートの展覧会のチラシをくれ、場所もわかりやすく説明してくれた。
でも、どちらもpm3:00からだという。

「 Antibes まで行きたかったが、バスで Cannes と Le Cannet を間違えて降りた」
「長距離バスは Cannes Centre には止まらないのよ。帰りはここから乗らないとダメ」な〜んだ、そうなのか。「今日は Antibes は無理だと思うわ」ガーン。
一応、Cannes への行き方を聞くと、すぐに地図をくれ説明してくれた。

この人の発音をよく聞いていると Cannes は「キャヌ」
Le Cannet は「ル・キャネ」 まぎらわしい〜!
お礼を言って外に出て、そこにあったベンチに座り今日の予定を考える。

まだam11:00をまわったばかりだ。
Le Cannet もいいが、やっぱり Antibes に行きたい!
ここの展覧会も pm 3:00 からだし、
ガイドブックをよく見ると Cannes まではバスで15分くらい。
Cannes から Antibes までも鉄道で15分くらい。
待ち時間を考えても行けないことはない!


Le Cannet から CANNES へ

観光案内所近くのバス停でバスを待つ。バスはすぐに来た。 ここから約15分だ。
ところがカンヌの市街地に入ると、渋滞に巻き込まれて30分くらいはかかった。
ベビーカーの母親がケータイメールばかりして子供が呼んでいるのに返事もしない。
「ママ!」と泣きわめくのでイライラして途中で降りた。どこの国でも一緒だ。
混んでる間バスの地図をみていたが、その方が駅にも近いとも思った。
まったく今日はうるさくてイライラすることばかりだ。
寝不足なのもあるかもしれないな。
ところが、そこはごちゃごちゃとした繁華街で、
駅などどこにもない。(後で資料を見ると、このバスは行きと帰りは違うバス停を通る。降りた所は駅からずいぶん離れた所)
とりあえず人の流れについて行くと広場に出た。
そして向こうに海が見える。港だ。港はいいけど駅は?

★スターの手形★
★スターの手形★
★Palais des Festivals et des Congres★
★Palais des Festivals et des Congres★
映画祭がなくても人が集まっています。

うろうろしていると、海沿いに大きな建物が見えたので、
そっちの方へ行ってみる。建物はあの有名なカンヌ映画祭の会場
「パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ」だった。
(なんちゅう長い名前だ)
ここに来ようと思ったわけじゃないが来てしまった。
せっかくなので、有名な手形を見るが知らない人ばかり。
知ってる人を捜すのが大変だった。
とりあえずジャンヌ・モローを見つけたところで立ち去ることにした。
とにかく駅・・・・だ。
地図で駅の場所を確認し、そちらの方向に歩いていくと、
Niceより小さいながら海岸があった。
その海岸沿いの道の向こうは高級ブティック街だ。
それから駅の方角へも、おしゃれなブティックが建ち並ぶ。
歩いている人もおしゃれな気がする。
体にぴったりとしたラインのミニのワンピースから、
モデルのような長いスラッとした足が。
ワンポイントのタトゥーもいやらしくなく、
さっそうと歩いている。

西洋人は本当に美しい。
自分のみすぼらしさに恥ずかしくなった。
しかし、骨格から違うから、
日本人がどう頑張ったって無理なのだ。
そうだ。
日本人は、日本人らしい美しさを表現してゆけばいいのだ。

★Cannesのビーチ★
★Cannesのビーチ★ここは白い砂浜でした。

★Cannesの海
★Cannesの海★ 海上のレストランです。
Cannesの街は、まだSoldesで賑わっていた。楽しそうだ。
また遠回りになったが、何とかGare SNCF=Cannes駅に着いた。
Cannes から Antibes までは
イタリア国境の町 Ventimiglia [ヴェンティミリア] 行きの列車で3つめ。
電光掲示板を見ると後10分ほどで列車が出そうだ。

急いで切符を買いホームに入るとまもなく列車が入ってきた。
汚い列車でびっくり。ドアも手動でかたい。
まるでMetroの古い車両のようだ。
もちろん冷房はなく、窓は開いている。

発車するとすぐ、前に座っていた女性がタバコを吸い始めたので、
昔の“汽車”を思い懐かしい感じがした。

CANNES から Antibes へ

列車は海沿いを走り、3つ目のAntibesへは15分程ですぐに着いた。
帰りの列車の時刻をメモし、ガイドブックに書いてある通りに足早にピカソ美術館=グリマルディ城を目指した。大通りはさして面白いところではなく、観光案内所もこぢんまりとしてパッとしなかった。
でもここでもらった JAZZ フェスティバルのパンフレットのメンバーは素晴らしかった。6月に終わっていたが、キース・ジャレットもブラッド・メルドーも来ていたのだ。残念。

少し行くと長距離バスターミナルがあり、
そこから急に美しい街が広がった。旧市街だ。

★Marche★
★Marche★もろ「市場」って感じ!

★旧市街★
★旧市街★
★AntibesのGare Routiere=遠距離バス乗り場★
★AntibesのGare Routiere=遠距離バス乗り場★
ピカソな時計がアートしてます。


★旧市街★
★旧市街★
海沿いの街らしくラフな格好の人で賑わっています。
地図上の海の方角に教会が見えた。自然とそちらに向かう。
すると隣にピカソ美術館=グリマルディ城もあった。
教会はアンティーブ大聖堂。



★Chateay Grimaldi Musse Picasso★
海側から観たピカソ美術館。こぢんまりとしたお城。
★Cathedrale d'Antibes★
★Cathedrale d'Antibes★
そして教会とピカソ美術館の間の道の向こうに海が広がった!

海の方に行くと、魅力的な岸壁があった。その向こうには水平線。
去年ポンピドゥで懐古展を観たニコラ・ド・スタールは
ここの岸壁のどこから身を投げたのだろうか。

★教会とピカソ美術館の間の道★
★教会とピカソ美術館の間の道★

★ピカソ美術館入り口★
★ピカソ美術館入り口★

★グリマルディ城の前の岸壁★
★グリマルディ城の前の岸壁★

★ピカソ美術館入り口の看板★
★ピカソ美術館入り口の看板★

[Chateau Grimaldi Musse Picasso]
1946年の秋、2ヶ月間ほどピカソがアトリエにしていた城である。

★テラスへ★
★テラスへ★絵のような・・・
ピカソ美術館に入る。
日本人の観光客がわたしの前にいた。
やっぱり日本人に人気があるのだ。
ちゃんと日本語のパンフレットもある。

入り口から入り、左の部屋に
「ハンス・アルトゥング」
「アンナ・エヴァ・ベルグマン」
の部屋があった。
その部屋に入るとすぐに、
外に向かって切り取られたように海が見えた。

リシエの彫刻がその真ん中に
絵のように立っている。
うわぁ・・・。
思わず外に出た。
素晴らしい景色。
地中海が、水平線が広がる。


しばらくそのテラスからの海の空気を感じていた。
リシエの彫刻は城壁の上にぽつんぽつんと立っており、
城側の壁の方にも変わった彫刻があった。
広いスペースではないが、とても心地よい空間だった。


★グリマルディ城のテラス★
★グリマルディ城のテラス★ リシエの彫刻が立ってます。
★テラスの・・・彫刻?★
★テラスの・・・彫刻?★ 変な作品です。誰のかな?

元の部屋に戻り、アルトゥング、ベルグマンを観た後、上の階へ。
早くド・スタールが観たい。
そうしたら階段の手前にド・スタールの大きなデッサン"Nu"=ヌードがあった。
これもいいが"Nu"はポンピドゥで観た方のが好きだ。

2階は企画展の magnelli の作品が展示されていた。
色がきれいで形のとらえ方がなかなか面白く興味深かった。
3階にはピカソの作品。
晩年の美しい恋人フランソワーズ・ジローを描いた頃の作品だ。
実際こうやってピカソがいたところに来てみると、ピカソの事、ピカソの作品との関連性がよくわかる。フランソワーズ・ジローとのあたたかな日々が作品からも伺われる。しあわせになる作品ばかりだ。
★ハンス・アルトゥングの作品★
★ハンス・アルトゥングの作品★

★グリマルディ城の中庭★
★グリマルディ城の中庭★ ピカソの彫刻
ところで、あれ?ド・スタールは? デッサンだけ?
係の人に聞くと「No. ごめんなさい、わかりません」え〜!ショック!
3階の窓からの景色は最高だったが、
ド・スタールがなかったので、 がっかりして階下に降りた。

もう一度テラスで憩って、最後にミュージアムショップに寄って帰ろうとすると、
ド・スタールのデッサンの掛かっている壁の向こうが小部屋になっており、
そこにド・スタールの油絵があった!
さっきはデッサンに気を取られて気付かなかったのだ。
あの、元気のない後期の絵だった。
あれはアンティーブの城塞を描いた物だったのか。
それもそうだ。自殺する少し前の絵だ。
海の向こうに行ってしまいたくなるような絵だ。

ミュージアム・ショップを少しのぞいて
「アンティーブのピカソ」の薄っぺらな画集(雑誌?)を買った。6ユーロ。
「バッグあげましょうか?」レジの人が日本語をしゃべったのでびっくりした。
バックとは買った物を入れるビニール袋のことだった。
すっかりトチ狂ってしまい、うっかりそこから外に出てしまったが、
荷物を預けたのを思い出し、また入り口まで取りに戻った。

時計をみるとまだpm2:30くらいで、あまりにも早く見終わってしまった。
★グリマルディ城の前の岸壁★
★グリマルディ城の前の岸壁★

Antibes の街はとても気に入った。
目の前に海もあるし、岸壁も旧市街も美しい。
ここに住みたいと思う。(ジャズフェスもあるし(^_^))

★Antibesの海岸★
★Antibesの海岸★ なんてきれいな海!
そのまま海沿いの道を歩いてみる。
その足で旧市街の町並みをぶらぶらと、駅まで帰っていった。

★Antibens の家★
★Antibens の家★

★旧市街★
★旧市街★
★旧市街★
★旧市街★

待合いの椅子が空いていたので
そこで持ってきていたパンを食べ、列車を待った。
列車が来たが、不安だったので、乗っている人に
「キャヌ?」と聞いてから乗った。
慣れてきたもんだ。
時間があったので、駅の反対方向の城塞まで行ってみようと思ったが、
列車の時間を確認しに駅に戻った。
pm 4:00 過ぎからしかメモしてなかったのだ。
ところが pm 3:00 代の列車はなく、
次の Cannes 行きの列車は 4:02 だか 4:04 だかだった。
工事中で電光掲示板がいっぱいあり、どれが本物だかわからない。
とにかく4時頃まで1時間近く待ち時間があったが、
ガイドブックによると城塞まで 500m とあるので
もう行く気がしなくなった。

★旧港★
★旧港★ ヨットの向こうに城塞が見えます。

Antibes から CANNES → Le Cannet へ戻る


★エスパス・ボナール★
ここで展覧会をやっていました。

Cannes駅に着くと、隣接する遠距離バスターミナルで、今後のために Vallauris [ヴァロリス] (ピカソの陶器を売る町)行きのバスの時間をメモし、今度は駅のバス停から Le Cannet の方へ帰る。
Aix-en-Provence への帰りのバスの時間まで、例の展覧会が観れるかもしれない。

逆方向は渋滞しておらず早い。
展覧会の会場へはこのバスで行けそうだったので、そのまま乗っていた。面白いくらいスムースに着いたが、バスは道を斜めになって登って行った。この道を歩いて行こうと思っていたなんて。

展覧会の場所はエスパス・ボナール。昔この近辺(もう少し丘の上です) にボナールが住んでいたそうだ。
小さな建物で展覧会は無料だった。

ヴァン・ドンゲンの絵を中心に、女性の肖像画ばかりで、
マティス、デュフィ、ピカビア、シュザンヌ・ヴァラドンなどもあった。
こぢんまりとしていたが楽しめた。
肖像画ばかりなので、ヴァン・ドンゲンなどは仕事の絵と好きで描いた絵がはっきり区別がつくほどで、その点私たちの商売と同じで興味深かった。


そのまま現代アートの方を観に行ってみようと、地図を片手に歩き始めたが、途中で道がわからなくなり、反対方向から行こうとすると、急な登り坂だ。
おまけにその場所があるあたりに男性の人影が見えたので、すぐに引き返して帰りの長距離バスの停留所まで向かった。
これまたすごい上り坂だった。

おかげで30分前に着いてしまった。
暑いし、時間つぶしだと案内所に入り、トビアスの礼拝堂はどこかと聞くと、今日は休みなのだそうだ。用事はすぐ済んでしまった。

バス停に戻り、暑さ、騒音、排気ガスの中だいぶ待った。
しばらくすると人が集まり始め、朝ここで降りた黒人の家族も戻ってきた。
やがてバスは時間にやって来たが、NIce Toulonと書いてあり、困惑した。
何人か運転手と話していたが、みんな乗ったので、わたしも続いて乗った。不安だったがとにかく疲れていた。
前の席の人に一応「Marseille?」と聞くと、そうだと言ったので信じることにした。やっと落ち着いたので残りのパンを全部食べた。


★エスパス・ボナールの近くの道★ 夕方で気持ちよかった!


★Vittel peche★薄くピーチの味がする水!
しかし安心して寝ずによかった。 
バスは途中でPに入り、運転手が皆に「Aix,Marseille」と言った。
何人かが降りて前に止まっていたバスに乗り込んだ。
わたしもあわてて降りて前のバスに乗り込む。
そのバスにはNice←→Marseilleと書いてあった。やっと一安心。
前の席の子供がうるさかったが、うとうとと眠ってしまったらしい。
おしゃぶりが飛んできたので目が覚めた。
一瞬何が起こったのかわからなかったが、腿の上におしゃぶりがあったので、
ぼうっとする頭でおしゃぶりをを子供に返し、あやまるお母さんに手を振って、
また眠ろうと窓の方に首を傾けると空に虹色の雲が!
ああ、やはり今日は守られていたのだ。もう、まもなくAixだった。

家に帰ると水をがぶ飲みした。
靴を脱ぐと靴下の親指の所が破れていた。あの坂じゃあね。
体がきつかったがバケツで足浴をし、すぐに爪を切る。
まったく。通りで足先が痛いと思ったら。
そのまま寝たかったが、さすがに体が汗でべたべたする。
シャワーを浴び、洗濯もしたかったが、
さすがにきつかったので色物以外は洗剤につけたまま寝た。
 

 

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