2000/5/7『ようこそ工房らせんへ』
 ゴールデンウィークの最後の日、工房らせんのホームページをアップしてみた。
 練習台の表紙だけ。数日は仕事をこなしながらホームページ制作の勉強をしている。

2000/5/11
 熊本市内のコンピュータウンでホームページ制作の本を買ってきた、
 今日から前に漱石で一緒に働いていたまゆみさんの小料理屋さん「和蔵(わぐら)」がオープン。

2000/5/13
  朝から雨が降り、日中はまだ冷や冷やする。それでも庭の新芽の緑が雨に濡れて、生き生きとしてきた。
 わっさわっさと緑が萌えて、だんだんと夏になってゆく。
 今はその移り変わりの美しい季節。いのちの育つ姿を、たっぷりと感じて下さい。

2000/5/14
 夕べの深夜の雨は今日を涼しくしてくれた。空気もさわやかで過ごしやすくなってくる。
 植木たちに水をやり、工房の表のシャッターに錆止めを塗った。途中で面倒になり、らくがきをした。
 道を行く人は突然現れたらくがきにびっくりだろう。適当でもよいから、行動することが大切だ。

2000/5/15
 「漱石」の梅雨のお便りの材料を買いに、朝から熊本市内までママさんと出かけた。
 このDMも、ずいぶん増えて700枚になる。今回は“スケルトン”と“癒し”がテーマ。
 和紙に印刷したメッセージとスパンコールをパウチする。そのまま郵便で送れるそうだ。
 毎回ながら、ママさんのアイディアには感心させられる。

2000/5/17
 ホームページの種から出た芽は双葉がでてきたようです。お知らせメールを出した。

2000/5/22
 ホームページに作品の掲載を始めた。なかなか大変な作業で簡単にはいかない。

2000/5/23
  いよいよ暑くなってきた。今日は夏日だった。ホームページに漱石のメニューの掲載をした。
 これは私が「イラストレーター」というソフトの勉強になった作品だ。今見るとずいぶん恥ずかしいものもあるが、
 お客さんにはなかなか評判なのだ。漱石のホームページに手間取っているので、とりあえず工房らせんの作品のページに掲載。

2000/5/26
 ここ数日の暑さは雨の前触れだったようで梅雨の近さも感じさせる。昼過ぎから雨。
 熊本に来るのに半年間も待った映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」 を観る。
 80歳代、90歳代でもあの素晴らしい深みのある声。やはり、音楽は人生。このように年をとっても音楽に浸かっていたいものだ。

2000/5/28
 昨日の大雨で今日は涼しい。漱石の季節のお便りの作業に取りかかる。和紙の水切り。プリントゴッコで印刷。

2000/5/29
 今日も、またあいにくの雨。ジャズ・イン・ファーストのマスターからアンプとスピーカーを安く譲り受けてきた。
 なんでも、ゴミに捨ててあったそうだ。調整をしてもらって両方で6千円。ゴミだったがまだ聴ける。
 今まで聴いていたステレオコンポよりいい音である。

2000/6/2
 ジャズ・イン・ファーストで「鈴木勲Quintet」ライブ。
 漱石は休めなかったので、1部だけ聴いて漱石のバイトへ戻る。
 バイト後、ミュージシャンの男の子たちと、ほかのお客さんとみんなで朝まで飲んだ。

2000/6/4
 今日もしつこい雨が降っている。じめじめのコンクリに、切断されたミミズの死体を見つけた。
 ふたつになった小さいいのち。ぶにょう と踏みそうで、こわい。いのち、だけどきらいなようで、こわい。

2000/6/5
 やっと晴れ、今日は洗濯物が乾くだろう。仕事に走り回る暑い車の中で、時間のことを考えていた。今日はタイミングが良かった。
 タイミングがよいと、時間はすきまなく組合わさり、とてもたくさんの出来事が進行する。そして人は充実感を味あう。
 そうして1日という時間は満足して過ごされてゆくのだ。人生タイミング良くとらえることをこころがけてゆこう。

2000/6/6
 誕生日の前日、バースデー・イヴといったところか、うれしいプレゼントをもらった。CDだ。音楽マニアのわたしにはCDはたからもの。
 CDにはアーチストの魂がこもってる。そして、くれた人の笑顔。
 “プレゼント”というのは、それに付随する、人の想いが見え隠れして素晴らしい。ありがとう。

2000/6/7
 6月というのは梅雨の真っ盛りだが好きな月だ。それは、誕生月だから。この月に咲く花、「あじさい」も大好きである。
 “紫陽花”という表現も美しい。今年はいろんな人のありがとうをもらって、酔っぱらって寝てしまった。
 オメデトウメールをくれた人たちにも、どうもありがとう。工房は、花と、おめでとうと、愛でいっぱいになった。

2000/6/8
 地震で目が覚める。そして1日じめじめととても暑くて、午後になると、滝のような雨。その後夜になると生ぬるい風が強く吹き、不吉な1日であった。

2000/6/19
 「不思議の国のアリス」のDVDを買って、ホームページの掲示板を作り上げた。その名も「Mad Tea Party」

2000/6/22
 父の命日、いよいよホームページ工房らせん、正式オープン。みなさんよろしくお願いします。

2000/6/23
 雨が続いたせいか、雷のせいか、アンプが壊れた。ヒューズが切れるので取り替えたが何度やってもだめ。

2000/6/25
 漱石のホームページ簡単ながら完成。

2000/6/26
 何度やってもヒューズが切れるアンプはジャズ・イン・ファーストのマスターがsansuiのアンプと替えてくれた。
 これもゴミだったそうだ。

2000/7/6
 数日前から左の目がごろごろして、“お姫さん”ができていたが (お姫さんとは、八代の方言で“ものもらい”のこと)
 とうとう今日、いらいらがピークに達し、針で「チクッ」・・・・
 そしてけっこうおもしろかったので、そのまま奥まで差し込んでみると、けっこう刺さるの。1cmくらいは入ったかな? あんまり痛くないぞ・・・。
 やっと白いものが出てきて、ごろごろが少しおさまったようだ。

2000/7/7
 今年の七夕はちゃんと天の川が観れた。

2000/7/9
 高校からの友人で、唯一の飲み友達=なおちゃんの結婚式。ちょっとした同窓会気分で楽しかった。
 披露宴の間中、高校時代の友人たちとわいわいやって話していたが、昔からの友人はよい。なんとなしに落ち着くものだ。

2000/7/13
 雨降って、少し涼しい一日であった。心にたまったものを洗い流すかのように、夕べは私の目からも涙がこぼれた。
 しかし、そのあとはすっきり。心も雨上がりの空気のようにすがすがしい一日。

2000/7/16
 初めての寺井尚之(ひさゆき)ジャズ講座。
 寺井尚之さんはトミー・フラナガンの弟子なので、今回はフラナガンの60年代のアルバムについて、曲を聴きながら学ぶというものだった。
 誘われていったのですが、いろんな意味で興味深かった。

2000/7/24
 毎日暑い日が続く。たまっていた雨が夕方になってまとまって降った。土砂降りだが気持ちいい。

2000/7/25
 デザインの仕事でトラブル。久々にショックだ。

2000/7/26
 友人の誕生祝いで熊本の「魚座」に食事に行った。最近とても気に入っている女性のソムリエの方がいるフランス料理屋。
 ワインと食事とそれから映画。ゆったりと過ごせて満足だった。

2000/7/29
 不思議な虹を見た。山の上に平行にまっすぐな虹。風も強かったが、不思議な光景だった。

2000/8/5
 風邪を引いたが熊本の映画好きが集まるホームページ「CIK」のオフ会に出かけ、映画の話で盛り上がった。
 話はエスカレートしてみんなで上映会をやろうという話まで発展。

2000/8/9
 漱石のママさんのお父さんが亡くなられた。わたしたちは急いで対処しなければならない。
 今日は休みだったがママさんの代わりに出ていった。しかし、こんな時に店を開ける気分ではない。マスターはPM9時に閉店した。

2000/8/10
 お通夜の手伝い。

2000/8/11
 お葬式の手伝い。

2000/10/1
 昨日から雨が降り続き、工房もだんだんとひんやりとしてくる。
 朝まで起きてHPを作っていたために、一日中眠かった。
 頭がもうろうとして車の運転も危なく、人には眠りが必要だと思い知らされる一日であった。
 きっと眼の下はどす黒かったに違いない。
 ミーティングの帰り際、高速のループする道路からみごとなクレセントムーン。
 見ているうちにどんどん厚みを増して私についてきた。

2000/10/2
 紙を買いに行く予定が、午後からの雨で中止になってしまった。
 紙は晴れの日に買いに行くことにしているからだ。普通ならここでがっかりだが、よくよく予定を組んでみると、明日のほうが映画も観れて都合がよかった。
 まるでパズルがあうように、上手くゆくようになっているものだ。

2000/10/3
 DVDで映画を観ていたが、自分はほとんど音楽に泣いてしまうような気がする。
 今日泣いた映画「ひまわり」「ニュー・シネマ・パラダイス」泣ける音楽だ。

2000/10/12
 もうすっかり秋で今日は髪を切りに行ったりして、ゆっくりと過ごしていた。
 絵を観に行ったり本を読んだり、ゆっくりとした昼下がり。ふと思い立って今日のひとふでの絵を描いた。
 絵は描いている途中で私の中からひろがって、もっと大きい画面に向かいたくなる。
 しかし、最初から大きいキャンバスに向かうとドキドキするものだ。

2000/10/16
 秋らしく涼しい午後。この工房も冷え冷えとして、だんだんと過ごしづらくなるのかと思うとちょっと憂鬱だったりする。
 それでも、季節の花が一日ごとに変化してゆくのを見るとこの地で過ごす秋の風景がほほえましく見えてくる。
 寒くなっているのに植木が元気で、「そういえば実りの秋なのだなあ」とちょっと感慨深く思うのだった。

2000/10/17
 疲れがたまってきているのか、たくさんのとぎれない夢を見た。さすがに起きたときは体が痛かった。
 潜在意識のなかで気になっていることがすべて顕在している。長い長い終わらない夢・・・・。
 そして外は冷え冷えとした小雨。秋深し・・・・・哉。

2000/10/18
 「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を八代第一映画で観た。ATGの会上映会。
 大画面でみるキューバの長老たちは生き生きとそこにいるかのようだった。本当のライブを聴いた。観客はみんな。
 わたしは、つい、拍手をしたくなったんだ・・・。

2000/10/20
 今日は英会話でN.Y.行きを決心! こう言うことは決心しないと「いきたいな〜」では実行できないものだ。
 6月だったら少しは話せるようになってるだろう。がんばろう。

2000/12/10
 少し暖かい日だった。しっとりと、ただしっとりと、空気がどよんとして、肌の隙間にしみこむような冬の一日。
 とても日本的な冬の一日。あなたは何をしていた? 日曜日。 しっとりとしたサンデイ。
 わたしといえばずっと屋根の下。ぽーっとしたネコのような一日。

2000/12/12
 寒くなってきた。この南の地も。わたしの苦手なものを送りつけてきた冬は、 いよいよをもって、自分らしさを発揮してきた。
 美しい空気。空の白。
 夜空はさらにしんしんと冷えきって、オリオンや、シリウス、すばるたちの天下になった。
 カメのように縮こまった体を伸ばして、上を見上げてみる。わたしはいつもそうしている。
 もう一つのわたしのパラレルな世界に挨拶をするために。心は矛盾しているが、冬が冬らしくありますように。          

2000/12/15
 不思議なことが起こるときには、何だか胸がわくわくするもの。
 時間は淡々と過ぎてゆくのに、わくわくした気持ちが残って、その日がにこにこと終われる・・・そんな気がする。
 とても疲れているのに、不思議なことがわたしを楽しませてくれて、心地よい疲れで、ゆっくりと風呂につかっていた。
 そうすると、明日もなんかおもしろいことが起こりそうで、にこにこと、眠りのふちをさまようのであった。

工房らせんのはじまりの2000年はこうやって終わっていった。
私はシンプルな事がやはり美しいのだと再認識し、新しい世界も知った。
ドジで間抜けな私は、その激しさに翻弄された。初めての経験だった。振り回されるつもりもなかったが、やはり、夢中になるとのめり込む。
それはそれでずいぶんと涙を流し、穴蔵の底へと沈み込んでゆくこともあったが、心地よくもあった。
そうして私はとてもずるがしこく透明で綺麗になった。たくさんの人に愛された。それはこの初めての経験のおかげであったと今はわかっている。
そして、その経験とたくさんのであった人達と、大切な人達を愛している。愛おしい涙を流す。
決して忘れない。決して捨てない。笑顔でもって眺めていこう。

すべての美しい出会いたちに感謝。ありがとう。